水防法に基づく水害ハザードマップの全貌

はじめに

集中豪雨や台風の激甚化に伴い、河川の氾濫や内水(雨水)がもたらす浸水リスクが身近な問題となっています。日頃から自宅や職場周辺のハザードマップを確認し、避難行動や備えを具体化しておくことが、被害を最小限に抑える第一歩です。

水防法に基づくハザードマップとは

水防法第15条に基づき、市町村などの公共団体が作成・公表する地図を指します。対象は以下の3種類で、いずれも「想定しうる最大規模の災害発生時にどこがどの程度浸水するか」を示します2。

主な3種類のハザードマップ比較

種類想定原因示される範囲主な用途
洪水氾濫想定区域雨量超過による河川の越水・堤防決壊河川流域内の浸水区域と浸水継続時間、最大浸水深広域避難計画、治水対策
雨水出水(内水)都市部の下水排水能力超過市街地や住宅地、農地が浸水する区域と深さ・継続時間道路冠水情報、下水道計画
高潮ハザード台風高潮・発達低気圧による高波海岸沿いや河口部の浸水区域と浸水深・範囲海岸防災計画、避難誘導

ハザードマップに記載される情報

ハザードマップには、以下の情報が紙面や電子地図上に示されます。

  • 想定最大規模降雨で氾濫時に浸水する区域区分
  • 各区域ごとの最大浸水深と浸水継続時間
  • 避難場所(小学校、公民館、指定避難所など)
  • 速やかな避難に適した経路(円滑避難ルート)
  • 河川の水位警戒情報や洪水予報の入手方法
  • 地下室の止水板設置箇所や土嚢置き場

マップの取得方法と閲覧先

  1. 国土交通省「洪水氾濫想定区域図・ハザードマップ」Webページ
  2. 都道府県や市町村の公式ホームページ
  3. 市役所・区役所・町村役場での印刷物配布
  4. Google検索やYahoo!検索で「〈自治体名〉 水害ハザードマップ」と検索

自治体によっては、スマホ対応のインタラクティブマップや専用アプリも提供しています。

不動産取引との関係

不動産の売買・賃貸契約時には、売主や貸主がハザードマップ上で当該物件の位置を示し、買主・借主に情報提供することが重要視されています。宅地建物取引業法上の重要事項説明書では、災害リスク情報が取引判断の材料となるため、マップ未整備地域は特に要注意です。

運用上のポイント

  • 定期的な情報更新状況を確認。自治体により刷新時期が異なる。
  • 実際の浸水深や進行速度はマップ想定とずれることがある点に留意。
  • ハザードマップ未整備の地域では、河川氾濫予報レベルや雨量情報、公共施設の防災設備を併せてチェック。
  • 自治体の防災訓練や周知活動も活用し、実践的な避難行動計画を練る。

まとめ

水防法に基づく水害ハザードマップは、自分や家族の命を守るための羅針盤です。日ごろから最新マップを入手し、避難場所やルートを家族で確認しておきましょう。定期的にマップを見直し、想定外の事態にも柔軟に対応できる備えを整えてください。

さらに、ハザードマップだけでなく、河川氾濫予報や雨量情報、ハザードタグ付きSNS速報など、複数の情報源を組み合わせることで、より安心・安全な防災対策が実現します。

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